「ジェフリー・ディーヴァー氏ら絶賛!」J・D・バーガー氏の【悪の猿】の帯に書かれた惹句を目にしたら……
ミステリー小説が好きな人であれば読まないわけにはいかないだろう。
男性刑事のポーターは、メールの着信音で起こされる。同僚刑事からのメールだったため、電話をかけるのである。
事故があったことを告げられるが、ふたりの刑事は殺人課なのだ。「おまえはこれを見たいと思うよ」とだけ言われ、通話は終わってしまう。
最初の1、2ページの描写だが、これだけで引きこまれるのである。
事故現場に到着すると?
バスが人を轢いてしまった、人身事故現場だったのだ。だが、めずらしいことではない。バスが暴走してつぎつぎと轢き殺したわけでもなく、ただの事故なのである。
そして、「こんなことで失職したくない」とか「こいつが飛び出してきたんだ!これは自殺だ!おれはまったく悪くない!」とバスの運転手はわめき散らし、ポーターを困らせるのである。
どうしてここに呼ばれたのか、ポーターは理解できないのだ。自殺だったとしても、殺人課のポーターには「見たいと思うよ」と言われることではないからである。
しかし、そのことを電話をかけてきた同僚に訊ねると、「バスに轢かれて死んだ男のかたわらにこれがあった」と黒い紐をかけた白い小箱を見せられるのだった。
小箱は?
『見ざる、聞かざる、言わざる』になぞらえ、誘拐した女性の耳、舌、目玉を家族に送りつけたるために使用されていた箱なのだ。送りつけたあと、誘拐した女性を殺すのである。そのことから、この殺人鬼は4猿と呼ばれるようになる。
はじまりは5年ほどまえからで、被害者は7人、ひとりに対して3個の箱が送りつけられるため、いままでに21個の箱が使われたことになる。
日記
バスに轢かれた男はノートを持っていたのである。
それは日記が書かれていて、家族の話が綴られている。父親、母親、男の子が登場し、男の子の視点で話が進んでいく。
ふつうの家族の話ではない。ぶっ飛んでいるのだ。
さいごに
小箱(バスに轢かれた男のかたわらにおちていた)のなかには、切りおとされた耳が入れられていたのである。
つまり、殺すために女性を誘拐したが、4猿はバスに轢かれて死亡してしまった。そのため女性は殺されず、どこかに監禁されたままなのだ。それを救い出すために、ポーターたちは奮闘するのである。
それと同時に、日記に書かれた4猿の子ども時代のエピソードが進んでいく。
サイコ・ミステリーとホラーが好きであれば、かなり楽しめる作品である。「このミステリーがすごい!2019」の上位になることはまちがいないだろう。そのように、わたしは思っている。
シカゴを震撼させる連続殺人犯“四猿”。「見ざる、聞かざる、言わざる」になぞらえ被害者の身体の部位を家族に送りつけてから殺す手口で、長年捜査を進める刑事ポーターも未だその尻尾を掴めずにいた。だが事態は急変する―四猿と思しき男が車に轢かれ死んだのだ。しかも防犯カメラにより、ただの事故ではなく自殺と判明。所持品には四猿の日記が。日記を読み始めたポーターは、新たな歪んだゲームに呑まれていく…。
コメント