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『盤上に死を描く』-井上ねこ氏-『このミス』大賞-優秀賞受賞作-

井上ねこ氏の盤上に死を描くという本国内ミステリー
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井上ねこ氏の「盤上に死を描く」は、『このミステリーがすごい!大賞』の第17回優秀賞を受賞した作品である。大賞を受賞したのは「怪物の木こり」なので、未読の人は下記の記事を参考にしていただければ嬉しい。

『怪物の木こり』【このミステリーがすごい!】第17回大賞受賞作
倉井眉介氏の「怪物の木こり」は、2019年(第17回)『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作である。【感情のないサイコパス弁護士VS斧で襲い、脳を奪うシリアルキラー】と帯に書かれていて、サイコパスものが大好物であるわたしは本書をすかさず手にとった。

そして本作は受賞時、「殺戮図式 猫吉」というタイトルと筆名だったが、「盤上に死を描く 井上ねこ」として発刊された。史上最年長の65歳だという著者の「盤上に死を描く」を紹介していこうと思う。

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将棋の駒

「被害者の手のひらの中と、スラックスのポケットから、将棋の駒が見つかっています。手のひらには『歩』、ポケットからは『銀』の駒、いずれもプラ駒と呼ばれているクリーム色のプラスチック製の将棋駒。『歩』の駒には被害者本人の指紋を検出、『銀』の駒からは指紋は検出されませんでした――」P20

名古屋市の自室で71歳の独居老人が絞殺され、上記のように将棋の駒が遺体といっしょに発見される。殺害された老女には、将棋をさす趣味はない。

老女が殺された理由と、どうして犯人は将棋の駒を残したのか……それらを主人公の女性刑事が追うのである。

「被害者は高倉順江、七十代半ばの老女。犯行手口は前と同じ絞殺。それにまた出たんだ、将棋の駒が」
「えっ、今度はどんな駒だったんです?」
「前回と同じプラスチック製の歩が一枚、被害者のスーツのポケットに入っていたということだ。こりゃ大変なことになったな」
将棋の駒については公表されていないから、多分同じ犯人だろう。――P42.43

またしてもおなじような事件が起きる。老女、絞殺、将棋の駒という共通点があり、犯人の目的は不明であり、読者はページをめくる手を止めることができなくなるだろう。

そして、

被害者は金山美保。六十すぎの女性だ。死因は絞殺、犯行時刻は昨日の十八時から二十時までの間。地下鉄鶴里駅の改札口をいつ出たのかは、定期券の使用履歴を交通局に問い合わせているところだ。
白いジャンパーのポケットに将棋の駒「歩」が入っていたことから、殺害したのは同じ犯人だ。
今回も財布は残っており、着衣に乱れはなかった。強盗でもなく、変質者的な犯罪でもない。ただ殺すのが目的だったとしか思えない。
結局、行きつくのは、誰がなんのために老女ばかりを殺しているのかということだ。
動機がさっぱりわからない。ひょっとしたら老女を殺すことだけが目的なのかもしれない。行き当たりばったりに無差別に殺人を行っているとしたら、これはもう手に負えない。P61.62

上記の3件目も、老女、絞殺、将棋の駒だ。しかし、ここからがおどろきの連続である。予想をくつがえされつづけ、息つく暇もない展開にきっと楽しむことができるだろう。

将棋と詰将棋のことを知らない人であってもまったく問題ないので、ぜひ手にとってほしい作品なのである。

71歳の老婆が自宅で殺された。片手に握っていたのは将棋の「歩」、ポケットに入っていたのは「銀」の駒。その後、名古屋市の老人が次々に殺害されるが、なぜか全ての現場には将棋の駒が残されていた。被害者の共通点も見いだせず行き詰まるなか、捜査一課の女性刑事・水科と佐田はある可能性に気がついて―。事件が描く驚愕の構図とは?被害者たちの意外な繋がりとは?衝撃のデビュー作!『このミステリーがすごい!』大賞第17回優秀賞受賞作。

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