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秋吉理香子氏の【ガラスの殺意】

秋吉理香子氏のガラスの殺意という本国内ミステリー
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主人公の女性が警察に電話をかけ、自首するところから物語がはじまる。だが、主人公は記憶障害なのである。

20年まえのある日、通り魔事件に遭遇する。眼前で両親を殺害され、主人公は逃げるために車道に飛び出した結果、車に轢かれる。その出来事の後遺症として記憶障害が残ってしまったのだ。

通り魔事件のことや、そのあとの20年間の記憶がない。記憶を保つことができるのは10〜20分ほどである。

そのため、なぜここにいるのか、なにをしているのか、目のまえにいる人はだれなのか、そのようなことが頻繁に起きる。映画の『メメント』を思いうかべる人は多いことだろう。

そして通り魔事件の犯人は3名を殺害し、5名の負傷者をだした。だが、無期懲役となった。シンナーを吸引しての犯行だったため、心神喪失であったことが認められたのである。

主人公が自宅のリビングで殺害したのは、仮釈放された通り魔事件の犯人だった。記憶障害の犯人が相手なので、警察は四苦八苦することになる。

だが、そこに主人公の夫(主人公が通り魔から逃げるために飛び出したときの、車で轢いてしまった運転手)があらわれ、捜査に協力するのである。

捜査に協力的ということは、記憶障害の主人公にとってはマイナスなのだ。なぜ、無罪であることを主張しないのか、弁護士に依頼しないのか……。主人公を有罪にしたいかのように、夫は振る舞うのだ。

そんなとき、夫の対立軸としてあらわれるのが、主人公に世話になったという老女である。「あなたみたいなやさしい人が人を殺すわけがない」とか「あなたは無実よ」と主人公を励まし、人権派弁護士に依頼する。

ミステリー小説を読みなれていて3〜5ほどの可能性を想定できる人であれば、結末を知ったとしてもそれほどおどろかないだろう。

しかし、だからといっておもしろくないわけではない。それなりに楽しむことができる作品である。

20年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。警察に「殺した」と通報したのは、その通り魔に愛する両親を殺された柏原麻由子。だが、麻由子は当時現場から逃げる途中で交通事故に遭い、脳に障害を負っていた。警察の調べに対し、麻由子による通り魔殺害の記憶は定かでない。はたして復讐は成し遂げられたのか―?

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