岩木一麻氏の『時限感染〜殺戮のマトリョーシカ』を紹介するまえに、岩木一麻氏のことを書いておこうと思う。
岩木一麻氏は【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』】の大賞を受賞する。受賞時の作品名は『救済のネオプラズム』だったが、『がん消滅の罠/完全寛解の謎』に改題して刊行されたため、知っている人は多いだろう。
そして、2作目が『時限感染〜殺戮のマトリョーシカ』なのである。
姉の家に訪れた女性が、姉の死体を発見する。それが『時限感染〜殺戮のマトリョーシカ』の冒頭だ。
姉の遺体は首が切りとられ、内臓を引きずり出されていた。遺体をどかすと犯行声明文があり、バイオテロの予告が書かれていたのである。
そして、この事件を捜査する主人公が女性刑事なのだが……。
女性刑事が登場したとき、わたしはため息を洩らしたのである。なぜなら……似たようなものが多いからだ。
①美人
②歯に衣着せぬ物言い
③過去に犯罪に巻きこまれた。もしくは被害者家族。
②歯に衣着せぬ物言い
③過去に犯罪に巻きこまれた。もしくは被害者家族。
上記の3つのすべてが当てはまることが多い。そのたびに、わたしは辟易するのだ。しかし、この作品は①だけが該当するものの、②③はちがったので杞憂だったようである。
女性刑事と犯人の、ふたつの視点で物語が進んでいく。そのため手に汗をにぎる展開であり、読みおわったとき……
タイトルの意味を理解でき、納得してうなずいてしまうだろう。楽しませてくれる作品である。
ヘルペスウイルスの研究者が首なし死体となって発見された。現場には寒天状の謎の物質と、バイオテロを予告する犯行声明が残されていた。猟奇事件にいきり立つ捜査陣であったが、彼らを嘲笑うように、犯人からの声明文はテレビ局にも届けられる。社会が生物兵器の脅威に晒される中、早期解決を図るべく、捜査一課のキレ者変人刑事・鎌木は、下谷署の桐生とともに犯人の手がかりを追いかけるが―。
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