前作の『IQ』は、【このミステリーがすごい!2019】(海外編)の3位だった。ちなみに1位と2位は、【1位、カササギ殺人事件】→【2位、そしてミランダを殺す】である。「この3作のなかに未読の作品がある!」という人は、下の記事を参考にしていただければいいだろう。

そして、(海外編)の1位から10位までの作品を読んでいない人は、すぐに読むことをおすすめする。どれもおもしろいからである。
ということで、『IQ2』のあらすじと感想を書いていく。
兄のマーカスが轢き逃げに遭って死んだとき、アイゼイアは十七歳だった。マーカスはずたずたの体でアスファルトに横たわり、精気を側溝に吸い込まれていた。アイゼイアは学校を中退し、マーカスを轢いたホンダ・アコードの運転手を何ヵ月か探し出そうとした。兄はアイゼイアの人生の師で、友で、寄る辺で、ただひとりの家族だった。すべてだった。P7
本書の冒頭である。主人公のアイゼイア・クィンターベイ、通称“IQ”(探偵)が、兄を轢き逃げした人物を調査しているのだ。その結果、轢き逃げは事故と思っていたが、
アコードはマーカスをはねたとき西から東へ走っていた。西から走ってきたということは、アコードは〈ケイヨ〉を出て、いったんおれたちから離れて、おれたちの西側へぐるりと回るしかない。はじめからマーカスを轢き殺すつもりだったのでもなければ、なぜそんなことをする?
事故じゃない。わざと轢いたのだ。P12
わざと兄を轢いた犯人を追おうとしていたとき、兄の元恋人から連絡があり、ジャニーン(異母妹)のことを依頼される。
「金曜日までに利息を払え」レオがいった。「払わねえなら次はおまえだ、とジャニーンに伝えておけ」
「わかったよ、でも、そこまでしたら一線を越え――」
レオがうなずくと、バルサニーがベニーを漆黒の闇に突き落とした。響いたりくぐもったりする絶叫とともにベニーがごみの斜面を転げ落ちていき、どこまで落ちていったのか、転落が止まったときにはほとんど音もしなかった。レオはベニーのうめき声や助けを呼ぶ声を待っていたが、ゴミ袋が風にはためく音しか聞こえなかった。ベニーのやつ、首の骨でも折ったか、とレオは思った。
「警告はしたよな?」レオはいった。その声にほんのかすかな後悔が混じっていた。
「運のいいやつだ」バルサザーがいった。「撃ってから落としてやってもよかった」P23
- 「レオ」→高利貸し
- 「バルサザー」→レオの巨漢の手下
- 「ベニー」→ジャニーンのボーイフレンド
世界最大級の埋立処分場に連れていかれたのである。
「埋立ピットは広さ約一・五平方キロで、深さは六十メートルある。現時点で五億トンの廃物が埋まっていて、目いっぱい埋まると、何と十億トン!ホントだぞ、みんな。十億トンのごみだ!どう思う、きみ?」
「くさいと思う」ベニーは答えた。P21
ジャニーンのボーイフレンドであるベニーは、五億トンの廃物が埋まっている六十メートルの穴に突き落とされたのだ。そして、金曜日までに利息を払わないと、ジャニーンも痛い目に遭うのだという。
ジャニーンとベニーは、お金を用意するためにあることを思いつき……一方、IQは腐れ縁の相棒とともにジャニーンが住むラスベガスへ向かう……ジャニーンとベニーはお金を用意するはずが、人身売買、麻薬、誘拐、ありとあらゆる悪事に手を染めている「三合会の14K」(何千人もメンバーがいる)という組織に狙われて追われることとなる。本末転倒である。敵を増やしてしまったのだ!
それに、メキシコ系ギャング集団などが加わり……という物語なのである。
起承転結の「承」が200〜250ページほどあり、本筋の部分がかなり少なくなる。そのため退屈だと感じる人がいるかもしれない。ていねいに土台を固める感じである。ラスト100ページくらいからいっきに盛りあがるので、楽しめるはずだが……。
ロサンゼルスに住む黒人青年アイゼイアは“IQ”と呼ばれる探偵だ。ある事情から大金が必要になった彼は腐れ縁の相棒の口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ」という異様なものだった!奇妙な事件の謎を全力で追うIQ。そんな彼が探偵として生きる契機となった凄絶な過去とは―。新たなる“シャーロック・ホームズ”の誕生と活躍を描く、新人賞三冠受賞作!
亡き兄の恋人だった女性に依頼されて、高利貸しに追われるDJジャニーンを助けることになった探偵“IQ”。腐れ縁の相棒とともにジャニーンが住むラスベガスに向かうが、事態は予想よりも深刻だった…中国系ギャングの個人情報を盗んで売ろうとした彼女は今や血も涙もない犯罪者たちに狙われていたのだ!IQの冴えた頭脳は彼女を救えるのか?三冠受賞作『IQ』につづく、興奮と謎解きに満ちたシリーズ第二作!
▼ English Edition ▼
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