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『ケイトが恐れるすべて』隣人が殺され、誰が嘘をついているのか……

ピーター・スワンソン氏の『ケイトが恐れるすべて』という本海外ミステリー
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今回はピーター・スワンソン氏の『ケイトが恐れるすべて』を紹介する。ピーター・スワンソン氏といえば、前作の『そしてミランダを殺す (創元推理文庫)』が、

  • 『このミステリーがすごい! 2019年版』第2位
  • 『週刊文春ミステリーベスト10 2018』第2位
  • 『ミステリが読みたい! 2019年版』第2位

上記のように、昨年末のミステリランキング上位を独占したのである。ミランダを未読の人はすぐに読んだほうがいいだろう。

そして今回の『ケイトが恐れるすべて』は、「真相が明かされた瞬間、驚愕で震える!」と帯に書かれている。そのため、本書が出版されるのを楽しみにしていたわたしは、浮き立つ思いで読みはじめたのだ。

というわけで、あらすじと感想を書いていく。

オランダの国旗と刀を持った蛙

彼女のまた従兄いとこ、いまだ会ったことのない相手が、いままさに、ボストン発の夜行便でロンドンへと向かっている。彼は六カ月間、彼女の部屋フラットを使い、彼女のほうはそのあいだ、ビーコン・ヒルの彼の部屋アパートメントで暮らすのだ。P13

ケイトが、高級住宅街ビーコン・ヒルに向かうところから物語がはじまる。しかし、

それは、ロンドン、ベルサイズ・パークのアパートメントの自室から薄暗い冷たい朝へと足を踏み出し、突如、住まいの交換というアイデアが、どこを取っても、自分にとって過去最悪のアイデアのように思えたときのことだった。P12

ケイトにはトラウマがあり、パニックの発作を起こしてしまうという。それを克服するために、異国の地で心機一転して暮らすのだ。

そして、又従兄のコービンの部屋に到着したとほぼ同時に、若い女性がコービンの隣室のドアを叩いていた。その人の話を聞いてみると、そこに住む女性と友達で、まったく連絡がとれなくなったのだという。

ケイトはつねに最悪のことを想定してしまう性癖をもっているらしく、「きっと死んでいるのだわ!」と妄想した結果、なんら根拠がないにもかかわらず、その妄想を確信に至らせ、パニック状態に陥るのだった。

しかし、妄想していたとおりになる。翌日、死体となった隣人の女性が、隣室で発見されるのだ。

殺害された女性の真向かいの部屋に暮らす男、殺害された女性の大学時代につきあっていた男、そのふたりがケイトに接触してきて、「コービンは殺害された女性と親密な関係にあった」と告げるのだった。

だが、コービンからのメールには、「被害者の女性とはとくに親しくはなかった」と書かれていて、ケイトは困惑するのである。

だれかが嘘をついているのか……又従兄のコービンが犯人なのか……殺人犯の家に住みつづけていいのだろうか……犯人がほかにいる場合、第2の犯行があるかもしれない。そんな危険な場所にいていいのか……そのような不安と疑念が押しよせてきて……真相はいかに……という物語なのである。

この作品のフーダニット (犯人はだれなのかを推理するのに重点を置いていること。)の箇所は、あまりにもひねりがなさすぎる。ここに重点を置いていないのだろう。それにしても物足りないので、にせざるをえない。

ホワイダニット (なぜ犯行に至ったのかを推理するのに重点を置いていること。)に関しては、ホワイダニットだけで読者を満足させることはできない。

どれだけ突飛でぶっ飛んだ犯行理由だったとしても、先人の名作があるせいで既視感があるものになるだろうから……。本書のホワイダニットは王道中の王道なので、である。

そして『ケイトが恐れるすべて』はハウダニット (どのように犯罪を成し遂げたのかを推理するのに重点を置いていること。)にもっとも重点を置いている。「真相が明かされた瞬間、驚愕で震える!」という帯の文言は、ここのことを示唆していると思うが、小説としてはそれほどではない。

ニュース番組を観ているときに、「こんな犯罪がありました」と放送されたのであれば、男のわたしでも驚愕するだろう。だが、ミステリー小説のハウダニットとしては、になってしまう。

ということで、ミステリーの部分に物足りなさを感じるものの、物語はおもしろいので楽しめるだろう。

ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住居を交換し、半年間ボストンのアパートメントで暮らすことにする。だが新居に到着した翌日、隣室の女性の死体が発見される。女性の友人と名乗る男や向かいの棟の住人は、彼女とコービンは恋人同士だが周囲には秘密にしていたといい、コービンはケイトに女性との関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか?想像を絶する衝撃作!

English Editionがある作品の記事まとめ
多読ブームということなので、『English Edition』がある作品の記事をまとめている。そうはいっても、複数の作品を紹介している記事では、『English Edition』が一部のみという場合があることを許していただきたい。

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