スポンサーリンク

【コヨーテの翼】暗殺のプロVS警備のプロ……標的は総理大臣!

五十嵐貴久氏の「コヨーテの翼」という本国内ミステリー
スポンサーリンク

五十嵐貴久氏の「コヨーテの翼」の舞台は、2020年の東京である。約4箇月後の7月24日、第32回夏季オリンピック競技大会がはじまる。

そのため、テロや事件が発生した場合の模擬訓練を兼ねて、新国立競技場の付近で検問をおこなっていた。白色のライトバンが停まり、窓をあけさせると、乗っていたのは4人の外国人だった。

国際免許証を確認したのち、問題ないと判断して通そうとした。だが、テールランプがついていないことに気づき、「ストップ」と声をかけた直後、ライトバンは猛スピードで走りだした。

赤信号を強引に右折したライトバンが急ハンドルを切ったが、対向車線を走っていたトラックに接触し、猛スピードのままガードレールに突っ込んでいった。
一瞬の静寂の後、轟音が起きた。車体から炎が上がっている。黒煙が辺りを覆った。P7

ここで場面がかわり、ゾアンベ教国の首都であるナバールに移る。パパス大聖堂の会議室に10人の男が集まっていて、SIC(スガーナ諮問評議会)の幹部たちだという。その男たちがゾアンベ神を讃える長い祈りを終えて円卓に座ると、

「約十時間前、トーキョーの連絡担当員ロベッカ・ハラーから報告がありました。潜伏中の工作員、ジャミリ・クルー他三名が警察の検問にかかり、逃走を図った後、死亡したということです」
これは確定情報です、と付け加えた。男たちの口から、一斉にため息が漏れた。P10

これで聖戦計画は頓挫してしまった。その内容は、オリンピックスタジアムの地下に爆弾を埋設し、日本の総理大臣と各国の国家元首などを爆殺するというものだった。10年以上も建設会社の作業員として働いていた彼らはだれにも疑われていなかったが、部屋を捜索されれば聖戦計画の証拠が出てくるからである。

そのためあきらめようとしていたが、「総理大臣だけなら殺害できる」とひとりの男が言うのだ。

そして、方法はコヨーテというコードネームを持つスナイパーに頼ることだった。コヨーテについて判明しているのは、2005年のアメリカ軍によるイラク侵攻に狙撃兵として従軍したこと、年齢と経歴などはいっさい不明であること。

唯一確実なのは、5箇月間で100人以上のイラク兵を長距離狙撃によって射殺したことである。そのあと、戦争犯罪人として指名手配中だが、軍のコンピューターにハッキングして、すべての情報を抹消したのだという。

そのような人物であるコヨーテは、どのようにして総理大臣を殺害するのか……。

武器などの危険物を会場に持ちこむことはできないし、会場の周辺は厳重に警備されているため狙撃することもできない。

警察組織はコヨーテの罠に翻弄され、予想外の結末にたどり着く。さいごはあっさり終わってしまうため、もうひと捻りあってもよかった気もする。しかし楽しめる作品なので、おすすめである。

2020年に開催される国際的スポーツイベント。その開会式で命を狙われたのは日本の総理大臣だった。―ある国家から日本の総理大臣の殺害を依頼されたスナイパー“コヨーテ”は、暗殺に向けて完璧な計画を練り上げる。対する警視庁は総力を結集して万全の警備態勢で迎え撃つ。リアリティ溢れる社会派サスペンス!

コメント

タイトルとURLをコピーしました