コインロッカーのなかから切りおとされた人間の左腕が発見された。それといっしょに見つかったのは犯行声明文と鍵だった。女性刑事が活躍する、警察小説である。
目次
【目次】
- 第1章.左腕P5〜
- 第2章.解錠P97〜
- 第3章.書庫P171〜
- 第4章.水源P211〜
- 第5章.血痕P260〜
ロッカーサービスではたらく男性が駆けつけ、コインロッカーをあけるところから物語がはじまる。女性が鍵を紛失したという。
解錠して女性に荷物をわたした直後、べつのロッカーに異変を感じるのである。危険物や生もの、動物などを入れてはいけない。そのように約款に記載されている。
確認すると、人間の左腕が入れられた袋が見つかり、警察に通報するのである。
そのあと女性刑事が登場するが、誉田哲也氏の姫川シリーズの「姫川玲子」に酷似しているため、残念な気持ちになるのだ。だが、ほかの部分は魅力的なので、読みすすめたくなってしまう。
《おめでとう!ようやく見つけてくれましたね。しかし、ゲームはまだまだ続きます。さあ、次のパーツはどこにあるでしょう。今度もコインロッカーの中ですから、この鍵で開けてください。ではヒントを差し上げましょう。(1)その近くには日本で1番高い場所があります。(2)その周辺はとても賑やかです。(3)しかしその場所は穴の底のようなところです。それでは、あなたの幸運を祈っています。ロックスミス》P34
上記の文面が、犯行声明文の内容だ。切りおとされた左腕、犯行声明文、複製されたコインロッカーの鍵、この3つが発見された。ロックスミスと名乗り、クイズを出題しているかのような犯行声明文は、つぎの体の一部がある場所を示唆している。
刑事たちはヒントを頼りにコインロッカーの場所を特定しようと奔走し、その途中で場面がかわり、エンバーマーの女性が見知らぬ場所で目覚める。エンバーマーの女性は部屋の外にでようとするものの、内側から解錠する手段がないところにいることを知り、監禁されているのだと気づくのだ。
そして、加工された声がスピーカーから聞こえ、あることを指示されるのである。鈍器のようなもので顔を殴打された女性の遺体。そのエンバーミングをしろという。遺体の両腕と両脚は切りとられていた……。
最後のほうまでは楽しく読むことができる。だが、真犯人をあかされたとき、わたしは落胆した。
説明するとネタバレになるので書けないが、ほんとうにもったいないと思う。まったくフェアではないので、わたしとおなじような感想を述べる人は多いだろう。
東京・葛西駅前のコインロッカーから女性の左腕が発見された。「ロックスミス(錠前師)」を名乗る犯人はヒントとなるメッセージとロッカーの鍵を残しており、引き続き身体の断片を捜すよう命じる。筋読みに優れた女性刑事・城戸葉月を中心とした警視庁の捜査チームは都内を奔走。一方、エンバーマー(遺体整復師)の折口聡子は「ウツロ」を名乗る人物に監禁されていた。ウツロは手足のない女性の骸の復元を聡子に要求する。一向に姿を現さないロックスミスとウツロの真意は?そして葉月と聡子が迎える衝撃の結末とは―?
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