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『マーダーズ』長浦京氏の3作目!またしてもすばらしい傑作だった……

長浦京氏のマーダーズという本国内ミステリー
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デビュー作の『赤刃 (講談社文庫)』は、時代小説が嫌いでなければかなりおすすめだ。そして2作目の『リボルバー・リリー』は第19回大藪春彦賞を受賞し、2016年版「週刊文春ミステリーベスト10」の第12位、「ミステリーが読みたい2017年版」の3位、「このミステリーがすごい!」の6位という大傑作である。

長浦京氏のことを『リボルバー・リリー』で知った人は多いだろう。しかし、未読の人がいるかもしれない。そのような人は、2週間ほどまえに『リボルバー・リリー (講談社文庫)』が文庫化されたので絶対に読んだほうがいいだろう。

ということで、待望の3作目である『マーダーズ』のあらすじと感想を書いていく。

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村尾(むらお)という男が、家宅侵入と殺人未遂の容疑で逮捕される。村尾は元刑事で女子大生の失踪を独自に捜査し、彼女を監禁していた男を刺したのである。

そのことを、「私」はインターネットのニュース記事を見て確認したのち、

大きな封筒がふたつ。これから私が接触しなければならない男と女の経歴が、それぞれに入っていた。
私の願いを聞いて、村尾さんがこのふたりを選び出してくれた。ただし、選ばれたことを本人たちは知らない。
村尾さんは多くの未解決事件を追い、捜査を続ける中で、警察の気づいていないいくつもの証拠を見つけ出した。その証拠を私が遺産として引き継ぐ。
まずこのふたりがどんな人間か、時間をかけて探ろう。そして、どうやって接点を作るか考えなければ。
私自身が罪人になろうとも、誰かを犠牲にしようともかまわない。
――何があっても、私は消えたままの時間を取り戻す。P11

そして商社に勤める男性と、女性刑事がコンビを組むことになる。というか、コンビを組む以外に選択肢はないのだ。どちらも過去に殺人に手を染めていて、男性は数か月後に結婚をする妹のために、女性刑事は娘のために、ふたりは自分が犯罪者であることを露見させないためにコンビを組んで動かざるをえなくなった。

「十九年前の九月。私が七歳のときに実の母と姉が行方不明になった。母は五ヶ月後に死体になって見つかり、姉の行方は今もわからないまま。警察からは母が姉を殺して、どこかに遺棄し、それから首吊り自殺をしたんだろうっていわれた。でも、私は信じていない。絶対に無理心中なんかじゃないから」P35

ふたりは殺人に手を染めた犯罪者なのだから、その視点を使えば事件の真相と姉の行方をさぐりだすことができるはずだという。あらゆる手段を使い、コンビを組んだ男女が真相を追うという話である。

この作品の欠点を無理にしぼりだせと言われたら……登場人物が多いことだろうか……。そのような作品が苦手だという人におすすめすることはできないが、ミステリー小説が好きな人は絶対に読んでおくべき作品である。

個性があふれている登場人物たちと素敵なコンビなので、個人的には続編を期待している。

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