池袋ウエストゲートパークシリーズ14作目の『七つの試練』について書いていく。
そのまえにシリーズのことを調べてみたのだが、1作目の池袋ウエストゲートパークが連続ドラマ化されたのは、2000年の4月のことらしい。出演者はTOKIOの長瀬智也氏、窪塚洋介氏、加藤あい氏などである。強烈なドラマだったので、記憶に残っている人は多いだろう。
18年半も経過していたことに、わたしはおどろかされたのである。本作の『七つの試練』が14作目なのだから、18年の歳月を経ていても不思議ではないのだが……。
そういうことで、ここからは『七つの試練』のあらすじと感想を書いていこうと思う。
1.泥だらけの星
3Pセックス(男2、女1)をネタに恐喝されている若手人気俳優を、主人公のマコトが助けるという内容である。
男が取りかえしのつかない失敗をする原因はふたつある。そう、わたしは思っていて、『女』と『金』がそのふたつである。『性欲』と『金銭欲』をコントロールすることができれば、大惨事になることはないだろうと思う。
しかし、それらをコントロールするのはむずかしいことなのだが……。
そして、読みすすめているわたしが思ったことは、石田衣良氏の文章はこんなに読みづらかっただろうか?
ということである。
体言止めが多用されているため、気になって仕方がない。1ページに2.3度ほど使用されているので、『体言止めフェチ』であれば、小躍りするほど楽しむことができるだろう。
2.鏡のむこうのストラングラー
ラブホテルの一室で客に首を絞められたという女性がふたりいて、それを解決してほしいという。その話をもってきたのが、出会いカフェのオーナーである。
わたしは男性なので体を売る女性の気持ちはわからない。それに、風俗などを含めて買う側になったこともない。相手のことをほとんど知らないのに、密室でふたりになるのは怖くないのだろうか。
3.幽霊ペントハウス
歯科医の男はペントハウスに住んでいる。妻とふたりで住んでいて、妻は元ミスキャンパスでフリーアナウンサーである。そして歯科医の男(スグル)が、あることをマコトに相談する。
「うちは最上階なんだが、ベッドルームで寝てると、真夜中に音がするんだ。コツコツと力なくものを叩くような音だ」
季節外れのオカルト話だった。おれは興味をひかれたが半信半疑。
「音はどっちからきこえるんだ?」
メガネのしたでスグルの眉がひそめられた。
「天井のほうから」
ようやくこの怪談の流れが読めてきた。
「だけど、おまえのとこ最上階なんだよな」
P117
管理室に調べてもらったが、おなじ階の住居ではきこえず、スグルたちの部屋でしかきこえないのだという。
「スズカさんにも、スグルにもきこえるんだよね」
スグルは黙ってうなずき、スズカはいった。
「はい。でも、この地に昔からお住まいになっておられた龍神さまが、わたしたち夫婦だけを選んで、なにかを伝えようとしているんじゃないか。わたしにはそんなふうに思えてしかたないんです」
どうも風むきが怪しくなってきた。完全にオカルト的なトラブルでは、おれの守備範囲外だ。おれには悪魔祓いも、龍神との会話も、吸血鬼退治もできない。
P129
スズカはスグルの妻である。そのスズカの主張は、龍神さまが怒っているので、マンションを転売してほかのところに住みたいという。
しかし、いま売却すると、ほんの数か月住んだだけで、数千万円の損失になる。
それをスグルは回避したいため、龍神さまは怒っていないということを証明してほしいと、マコトは依頼されるのである。
4.七つの試練
交流サイトで7つのお題が順番にだされ、それを実行しているところを写真や動画で撮影したのち、SNSにアップするという話である。最初は4つのドーナツを食べろとか、大盛りのラーメンをふたつ食べろとか、そのような違法性のないお題である。
しかし5番目からは、万引きをしろなどの違法行為を指示されるのだ。さいごの七番目では、命綱をつけてもつけなくてもいいから、高いところから飛べというのである。
徐々に過激なことをやった結果、「いいね」の数が増えていくことで快感をえて、途中でやめられなくなってしまうのだという。
そして、マコトはサイトの運営者を追うことになるのだが……。
上記のようなあらすじである。ただの愉快犯なので薄っぺらく感じてしまうが、つまらないわけではない。だが、『盗人にも三分の理』というか、悪党の大義を知りたいわたしとしては、すこしもの足りないのである。
その大義がねじ曲がっていたとしても、理解できないことであったとしても……そこを読ませてほしいのだが……。
さいごに
1作ずつ評価すると下記のようになる。
『泥だらけ星』
『鏡のむこうのストラングラー』
『幽霊ペントハウス』
『七つの試練』
『幽霊ペントハウス』からは、文章が気にならなくなった。改善されたのか、石田衣良氏の文章に馴れたのか、どちらなのかはわからない。
総評〜
暇なら読んでみてもいいのでは?
というくらいで、強くおすすめしたい作品ではないのである。
タカシが紹介したのは、淫行をネタに揺すられるイケメン俳優。暴露記事をちらつかせる敵にマコトが選んだ意外な作戦とは?
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