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『オレオレの巣窟』嘘にまみれた詐欺師たちのマネーゲーム!勝者はだれだ!

4.5
志駕晃氏の『オレオレの巣窟』という本国内ミステリー
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『オレオレの巣窟』は、志駕晃氏の最新刊(2019年8月11日時点)である。

「あなたも、きっと騙される」「詐欺師達の饗宴。出し抜くのは誰だ?スリル満点!痛快エンタメ。」と帯に書かれているため、ミステリーが好きな人であれば、食指が動かないはずがないだろう。

ということで、あらすじと感想を書いていく。

【目次】
  • 第一章.オレオレの罠P7〜
  • 第二章.デリヘル嬢の恋P61〜
  • 第三章.受け子と架け子P117〜
  • 第四章.枯れないサクラP165〜
  • 第五章.結婚詐欺師の憂鬱P213〜
  • 第六章.詐欺師たちの饗宴P265〜
  • 第七章.ラストゲームP313〜
  • 第八章.詐欺と青春の光P335〜
  1. 「オレオレ詐欺」グループの首謀者(社長)である、平田ひらたという男
  2. アパレル会社に勤めている真奈美まなみ
  3. 『簡単な仕事で、日給5万円』という求人サイトに応募する、松岡まつおかという男
  4. イケメン結婚詐欺師の竹崎たけざき
  5. 「出会い系のサクラ」の檜原ひわら貴美子きみこ

上記の5人の視点で物語がすすむ。真奈美はアパレル会社の薄給に苦しみ、それに奨学金の返済に四苦八苦した結果、消費者金融に返済するためにデリヘルのアルバイトをすることにした。

そしてある日、架け子たちを集めた「オレオレ詐欺」グループの新記録達成パーティーがひらかれた。主催者である社長の平田は、高級デリヘル嬢たちを雇い、架け子たちを慰労することにしたのだった。

そこで真奈美と平田は出会い、真奈美がデリヘルの仕事をやめることを平田に伝えると、

「なあ、おまえ。ひょっとして何かのプロになりたいんなら、プロの詐欺師になってみないか」
真奈美はちょっと考える。
「えー、駄目ですよ。いくら私でも、法律に触れることはできません」
「いや、法律に触れない詐欺師だよ」
「えー、そんな詐欺師がいるんですか」
「ああ、もちろんだ。法律に触れる詐欺師より、そっちの詐欺師のほうが世の中にはいっぱいいるんだ。稼いでいる金もそっちの詐欺師のほうがよっぽど多い」
「どんな詐欺師ですか」
本当にそんな詐欺師がいるのだろうか。真奈美はにわかに興味を持った。
「キャバクラ嬢だよ」
新しいシャンパングラスを手に取って、平田は真顔でそう言った。
「キャバクラ嬢は詐欺師ですか?」
「風俗と水商売は似ているけど根本的には全く違う。どちらも擬似恋愛というか、恋人気分で男を騙すが、風俗は必ず肉体という対価がついてくる」
平田はシャンパングラスに口をつけて、美味うまそうに炭酸入りの液体を飲み干した。
「だけど水商売は、それをやったら終わりだからなかなか体は開かない。もう少しでエッチができそうなことを言いながら、いつになってもやらせてはくれない。挙句に風俗の何倍もの金を巻き上げる。こんなひどい詐欺師はいないよ」
「なるほど、本物の詐欺師が言うと妙に説得力がありますね」P90〜91

真奈美は法律に触れない詐欺師になるのだった。その一方、受け子のリクルーターが逮捕されたり、道具屋がいきなり料金の値上げを要求してきたりと、平田の周辺では妙なことが立てつづけに起きるのだ。

そして、上記のふたりの視点と、【『簡単な仕事で、日給5万円』という求人サイトに応募する、松岡という男】【イケメン結婚詐欺師の竹崎】【「出会い系のサクラ」の檜原貴美子】の3人の視点がリンクしたとき、読者はページをめくる手をとめることができなくなるだろう。それに、何度もひっくり返してくるため、絶対に楽しめるはずである。

前作の『あなたもスマホに殺される』志駕晃氏/「自殺相談室」という謎のSNSもおもしろかったが、志駕晃氏は作品を重ねるたびにおもしろさが増していく。

『オレオレの巣窟』を読了したとき、「あれも、あれも、あれも……嘘だったのか!やられた!」と叫ぶはずである。

オレオレ詐欺で裕福な生活を送る平田は、奨学金の返済に苦しむ真奈美と出会い、惹かれ合う。堅気の世界へ戻ろうとする平田だが、一度入った裏社会は沼のように彼を飲み込み放さない。イケメン結婚詐欺師・竹崎と不細工な出逢い系のサクラ・貴美子も加わり、現代社会に蔓延る詐欺師達の騙し合いの饗宴、ここに開幕。出し抜くのは誰だ?

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