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【2018年海外ミステリー文庫本】年内に読んでおきたい17作品

海外ミステリー小説3冊おすすめ作品
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12月の中旬までに、各賞のランキングが出そろう。発表されるのを心待ちにしている人や、「そんなものには興味がねぇやい」という人もいることだろう。

わたしは、上位の作品はなんだろうかと頭をめぐらせている。そこで、上位に入りそうな海外ミステリーの文庫本を紹介していく。

9冊の海外ミステリー小説

(1)の『許されざる者』と(2)の『そしてミランダを殺す』は、下の記事で紹介している。どちらも傑作なので、未読の方はぜひ読んでみてほしい。

【2018年上半期】海外ミステリー小説(文庫本)わたしのベスト3
海外の小説が苦手な人は多いかもしれない。だが、毛嫌いして読まないのはもったいないことである。いまから紹介する作品を読んでいただければ、新しい扉をひらくことができるだろう。夢中になって読みふけった結果、寝不足にならないように注意してほしい。
3.カササギ殺人事件

2018年のミステリーランキングの1位を総なめにするのは、この作品である。必読書なので、未読の人は読んでおいたほうがいいだろう。

アガサ・クリスティーが好きな人であればとても楽しめるし、そうでない人でも楽しめるはずである。

1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは…。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。余命わずかな名探偵アティカス・ピュントの推理は―。アガサ・クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ!

4.IQ

主人公の探偵の名前はアイゼイア・クィンターベイである。その頭文字を取った渾名がIQだ。腐れ縁の友人から仕事の依頼がある。巨大な犬に殺されそうになったラッパーが、その殺し屋を見つけてほしいのだという。

IQの過去と現在、探偵になったいきさつなどを交えながら話が進む。犯人捜しの話は秀逸である。黒人文化をとり入れた軽妙なやりとりは魅力的であり、多くの人に読まれるべき作品だろう。

「IQ」の続編がついに発刊された。(2019年06月20日)詳しくは下の記事をどうぞ!

ジョー・イデ氏の『IQ2』-シリーズ2作目-暗黒街のホームズふたたび!
前作の『IQ』は、【このミステリーがすごい!2019】(海外編)の3位だった。ちなみに1位と2位は、【1位、カササギ殺人事件】→【2位、そしてミランダを殺す】である。「この3作のなかに未読の作品がある!」という人は、下の記事を参考にしていただければうれしい。

ロサンゼルスに住む黒人青年アイゼイアは“IQ”と呼ばれる探偵だ。ある事情から大金が必要になった彼は腐れ縁の相棒の口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ」という異様なものだった!奇妙な事件の謎を全力で追うIQ。そんな彼が探偵として生きる契機となった凄絶な過去とは―。新たなる“シャーロック・ホームズ”の誕生と活躍を描く、新人賞三冠受賞作!

5.蝶のいた庭

「庭師」と呼ばれる男に拉致監禁された少女に、FBI捜査官が事情聴取するところから物語ははじまる。

だが、被害者であろう少女はあまり協力的ではない。まさか共犯だろうか……。そう思わせながらも、ゆっくりと事件の全貌が語られていく。

拉致した少女を蝶に変えてガーデンで軟禁し、最後は永遠に保存する。そのサイコパス親子が気持ち悪い。しかし、どうしてだろうか、引き込まれていっきに読んでしまうのは……。サイコパスものが好きな人に、とくにおおすめしたい作品である。

FBI特別捜査官のヴィクターは、若い女性の事情聴取に取りかかった。彼女はある男に拉致軟禁された10名以上の女性とともに警察に保護された。彼女の口から、蝶が飛びかう楽園のような温室〈ガーデン〉と、犯人の〈庭師〉に支配されていく女性たちの様子が語られるにつれ、凄惨な事件に慣れているはずの捜査官たちが怖気だっていく。美しい地獄で一体何があったのか? おぞましすぎる世界の真実を知りたくないのに、ページをめくる手が止まらない――。一気読み必至、究極のサスペンス!

6.ホワイトコテージの殺人

イギリスの屋敷で隣人の男が殺される。その周囲の人間はみな、動機になりうる感情を抱えていた。ざっくり説明するとこのような内容で、オーソドックスなミステリーを好む人におすすめしたい作品である。

1920年代初頭の秋の夕方。ケント州の小さな村をドライブしていたジェリーは、美しい娘に出会った。彼女は住居の“白亜荘”まで送ったとき、メイドが駆け寄ってくる。「殺人よ!」ジェリーは、スコットランドヤードの敏腕警部である父親のW・Tと捜査をするが…。英国本格の巨匠の初長編ミステリにして、本邦初訳作、ユーモア・推理・結末の意外性―そのすべてが第一級!

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7.ダ・フォース

主人公のデニーマローン刑事は、ダフォースで班長を勤める凄腕刑事である。班は4人編成で、自分に何かあった場合、残りの仲間が家族の面倒をみるという約束を交わしている。

マローンたちは街の秩序を保つために、賄賂や強請、ときには麻薬をわたして情報を集める。それに、更なる大物を捕まえるため、捕まえた人物を見逃すこともある。読み進めるうちに、善悪の基準が麻痺してしまうことだろう。

麻薬や銃による犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部、通称“ダ・フォース”。ニューヨーク市警3万8千人の中でも最もタフで最も優秀で最も悪辣な警官たちを率いるデニー・マローンは市民のヒーローであり、この街を統べる刑事の王だった。だが、ドミニカ人麻薬組織の手入れの際におこなったある行動をきっかけに、栄光を約束されたマローンの人生は、転落の道をたどりはじめる…。

8.牧神の影

ヘレン・マクロイの1944年の作品である「Panic」の本邦初訳で、ウィリング博士の登場しないノン・シリーズである。

ひとりで山奥のコテージに住んでいたアリスンは、死んだ伯父の暗号を受けとってしまい、不可解な現象に悩まされる。これは牧神なのか、それとも彼女の命を狙っている者がいるのか……。

登場人物はみな、何を考えているのかわからない。それに、信用できない。不可解な音が暗い森で響き、人が突然いなくなる。

そのような暗号の解読をメインにしたミステリーを、多くの人に堪能してほしいのである。

深夜、電話の音でアリスンは目が覚めた。それは伯父フェリックスの急死を知らせる内線電話だった。死因は心臓発作とされたが、翌朝訪れた陸軍情報部の大佐は、伯父が軍のために戦地用暗号を開発していたと言う。その後、人里離れた山中のコテージで一人暮しを始めたアリスンの周囲で次々に怪しい出来事が…。暗号の謎とサスペンスが融合したマクロイ円熟期の傑作。

9.ローズ・アンダーファイア

少女のローズが、ドイツの強制収容所に送られたという物語である。彼女が脱出できたのは明らかにされている。しかし、本書の要はそこに至るまでに何があったのかということである。

収容所の日々はつらい。とくに人体実験の餌食にされた女性たちのようすは残酷だが、彼女たちは絆によって乗り越えていこうとする。その姿に目が離せなくなるだろう。

本書から読んでもいいのだが、前作の『コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)』は姉妹作とされているので、こちらをさきに読んだほうが楽しめるかもしれない。

『ローズ・アンダーファイア』はつらくなる内容かもしれないが、多くの人に読んでほしい傑作である。

1944年9月。飛行士のローズは、戦闘機を輸送する途中でドイツ軍に捕まり、ラーフェンスブリュック強制収容所に送られる。飢えや寒さに苦しみながら苛酷な労働に従事するローズ。収容所で出会った仲間と生き延び、窮地を脱するための意外な方策とは―。戦争に翻弄される女性たちの絆と闘い。日記や手紙で構成された、先の見えない展開の果てに待つ圧巻の結末が胸を打つ傑作!

8冊の海外ミステリー小説

10.暗殺者の潜入

暗殺者シリーズの7作目である。このシリーズはおもしろすぎる。詳しくは、下の記事を参考にしていただければ幸いである。

【暗殺者の潜入】マーク・グリーニー氏の暗殺者シリーズ7作目!
7作目である「暗殺者の潜入」の感想を書くまえに、グレイマン・シリーズの順番を記載しておくことにする。このシリーズを読んだことがなく、最初に本作を手にとったとしても楽しむことはできるだろう。だが、より楽しむために以下の6作を読んでおくことをおすすめする。

“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる暗殺者ジェントリーは、パリにあるシリアの亡命者組織から仕事を依頼された。それは、シリアの独裁者アッザムの愛人ビアンカを拉致することだった。彼女が握る機密情報を公表し、独裁政権を倒そうというのだ。予期せぬ勢力から襲撃されるが、拉致は成功した。だが、ビアンカの協力を得るには、彼女とアッザムの間にできた愛する息子を、シリアから連れ出さなければならなかった。

11.遭難信号

同棲していた女性がクルーズ旅行に出たきりもどらない。そのあと、郵送されてきたのは彼女の自筆メモを添えたパスポートだった。

彼女の身に危険が迫っていると感じた主人公は、素人探偵の真似事をするのである。そして調べてみると、おなじ船でべつの女性が行方不明になるという事件が、1年前に起きていたことが判明する。その夫とともに真相を究明するという本筋、サイコパス少年の話と客室係の話、それらはどこで交差するのか……。

荒削りなのは否めないものの、良質なサスペンスとして楽しめる作品である。

ハリウッドの脚本家を目指すアダムのもとに、海外出張に出かけ、突然音信不通になった恋人サラのパスポートが郵送されてくる。それには「ごめんなさい―S」とサラの字で書かれた付箋が貼られていたが、封筒の文字は別人のものだった。アダムは恋人の足跡を追って、千以上の客室を持つ豪華客船に乗り込み真相を探る―。巧みな構成と謎解きの妙味を味わえる衝撃のサスペンス。

12.悪の猿

バスに轢かれた男が持っていた箱の中には、切り取られた耳が入っていた。その箱は特徴的だったため、シカゴを震撼させている連続殺人鬼「四猿」だと推測された。しかし、事故ではなく自殺らしい……果たして彼が「四猿」なのか、どうして自殺したのか。

【悪の猿】サイコ・ミステリーの傑作!
「ジェフリー・ディーヴァー氏ら絶賛!」J・D・バーガー氏の【悪の猿】の帯に書かれた惹句を目にしたら、ミステリー小説が好きな人であれば読まないわけにはいかないだろう。

詳しくは上の記事を読んでほしい。ネタバレはしていない。グロいのが苦手でなければ、かなりおすすめしたい作品である。

シカゴを震撼させる連続殺人犯“四猿”。「見ざる、聞かざる、言わざる」になぞらえ被害者の身体の部位を家族に送りつけてから殺す手口で、長年捜査を進める刑事ポーターも未だその尻尾を掴めずにいた。だが事態は急変する―四猿と思しき男が車に轢かれ死んだのだ。しかも防犯カメラにより、ただの事故ではなく自殺と判明。所持品には四猿の日記が。日記を読み始めたポーターは、新たな歪んだゲームに呑まれていく…。

13.数字を一つ思い浮かべろ

『私は知っている。数字を一つ思い浮かべよ。私はお前を知り尽くしている。さあ、小さい封筒をひらけ』

そのような差出人不明の手紙をうけ取った男が、命じられたとおりに封をあけると、彼の思いうかべた数字が記されていた。手品のような謎につづき、奇怪な殺人が起きる。

首を銃で撃たれたあと、割れたボトルでなん度も刺された死体。犯行現場に持ち込まれた椅子と吸殻。雪の上から消えた足跡。木に吊り下げられたブーツ。まさに謎の連続なのである。

トリックのショボさは感じるものの、魅力的な謎が多いのでぐいぐいひきこまれ、ページをめくる手がとまらなくなるだろう。

数字を一つ思い浮かべろ。その奇妙な封書にはそう記されていた。658という数字を思い浮かべた男が同封されていた封筒を開くと、そこにあった数字は「658」!数々の難事件を解決してきた退職刑事に持ち込まれた怪事は、手品めいた謎と奇怪な暗示に彩られた連続殺人に発展する。眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれる華麗なミステリ。

14.ブルックリンの少女

婚約者のアンナと南フランスで休暇を楽しんでいた人気小説家のラファエルは、アンナが自分の過去を隠そうとしていることが気になっていたため、そのことを彼女に問いただした。

その結果、アンナは3人の焼死体の写真をラファエルに見せ、ひとりでパリに帰ってしまった。そして、アンナは失踪する。

ラファエルは近所に住む元警部のマルクの力を借り、アンナの失踪の真相をさぐると、過去の思わぬ事件や事故が次々と明るみになる。それに、アンナの素性も徐々に明らかになっていく。

おもしろいのはまちがいないが、重い作品である。しかしミステリーが好きであれば、この小説を読むべきだろう。

人気小説家のラファエルは、婚約者のアンナと南フランスで休暇を楽しんでいた。なぜか過去をひた隠しにするアンナに彼が詰め寄ると、観念した彼女が差し出したのは衝撃的な光景の写真。そして直後にアンナは失踪。友人の元警部、マルクと共にラファエルが調査を進めると、かつて起きた不審な事件や事故が浮上する。彼女の秘められた半生とはいったい…。フランスの大ベストセラーミステリー。

15.兄弟の血-熊と踊れII

実話を元にした前作の『熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)』の続編である。

6年の刑期で出所した長兄が、獄中で仲間と謀議した犯罪を実行する。自分を捕まえた警官と、その組織への仕返しをするために……。

しかし、出所後の4日間で完遂する計画だったが……初日から思わぬ出来事があり、さきに出所していた父親やふたりの弟を巻きこまないはずだったにもかかわらず、計画の見直しを迫られるのである。

ピカレスクが好きな人は、この作品をどうぞ。

獄中で男たちが出会った。ひとりは連続銀行強盗犯。ひとりは終身刑の殺人者。共通点はふたつだ。“兄”であること。そして市警のヨン・ブロンクス警部を心の底から憎んでいること―時を経て、檻の中で育まれた復讐計画は史上最大の略奪作戦としてついに始動する。狙われる「存在しないもの」とは何か。そして彼らの“弟”たちもまた、暴力の舞踏へと駆り立てられてしまうのか?傑作『熊と踊れ』につづく第二作、開幕!

16.消えた子供:トールオークスの秘密

本書は『CWA新人賞受賞の傑作ミステリ!』だという。

3歳のハリー・モンローが行方不明になった。自宅のベッドに寝かせられているところを連れ去られ、その子ども部屋には見守りのためのカメラが設置されていた。

映像を観ると、ピエロのマスクをかぶった男の姿があった。このような内容だが、肩透かしを喰らったのである。誘拐ミステリーだろうと推測していたのに、ミステリーの部分は極薄だ。95%ほどは小さな町の人間模様を描き、その前後に子どもが連れ去られたことを付け足した感じである。

では、登場人物たちが魅力的なのかと問われると、それほどでもない。トールオークス高校の全課程を修了し、あとはプロム・パーティーを待つばかりのマニーという男がおもしろいくらいだろう。ギャングになりきって地回りに勤しんでいる彼のパートは、ユーモアがあるので楽しめる。

わたしの好みではないが、「CWA新人賞受賞」ということなので、日本のランキングの上位にも入るかもしれない。

誰もが顔見知りの小さな町トールオークス。深刻な犯罪とは無縁のこの町で、嵐の晩に、三歳の子供が忽然と消えた。全米の注目を集めたこの失踪事件は、住民総出の捜索でも警察の捜査でも、手がかりすら出てこない。絶望に抗いながら捜し続ける母親。そして、町の住民たちそれぞれが抱えていた秘密が次第に明らかになっていくなかで、意想外の真相が姿を現して―CWA新人賞受賞の傑作ミステリ!

17.誰かが嘘をついている

居残りで課題を課せられていた男女5人のうち、ひとりがアレルギーショックで教室内で死亡する。被害者は暴露アプリの管理者であり、4人それぞれの秘密を握っていた。その4人は全員に動機があり、だれがアレルギー物質を仕込んだのか……。

そして、4人の視点で場面が切り替わるという構成である。それぞれの個性が際立ち、徐々に抱えていた秘密が明かされていく。真相を知ったときのおどろきは小さい。しかしSNS、スクールカーストなどの題材を使った、青春ミステリーの良作である。

放課後の理科室で、5人の高校生がルール違反の罰で教師に作文を書かされていた。だが突然、生徒の1人サイモンが苦しみだし、病院搬送後に死亡する。検死の結果、警察は事件性があると判断した。サイモンは生徒のゴシップを暴くアプリを運営しており、ほかの4人は全員が彼に秘密を握られていたのだ。4人は順繰りに事件について語っていく。いったい、誰が何を隠しているのか?

残りわずかとなった2018年のうちに、これらの作品を読むことができれば、「素敵やん」なのである。読むのが遅くなったとしても、何も損はしないのだが……。多少なりともみなさまの参考になれば幸いである。

English Editionがある作品の記事まとめ
多読ブームということなので、『English Edition』がある作品の記事をまとめている。そうはいっても、複数の作品を紹介している記事では、『English Edition』が一部のみという場合があることを許していただきたい。

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