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塩田武士氏の【歪んだ波紋】

塩田武士氏の歪んだ波紋という本国内ミステリー
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塩田武士氏の代表作といえば、『罪の声』である。2016年、グリコ・森永事件を題材のモチーフとし、第7回山田風太郎賞を受賞する。2016年版の「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、2017年版の「このミステリーがすごい!」で第7位、第38回吉川英治文学新人賞候補に選ばれた。

前作の『罪の声』が傑作だったため、今回の『歪んだ波紋』も期待して読んだのである。

『歪んだ波紋』の目次

【目次】
  • 黒い依頼P6〜
  • 共犯者P50〜
  • ゼロの影P104〜
  • Dの微笑P162〜
  • 歪んだ波紋P218〜

黒い依頼

新聞記者の主人公が、ひき逃げ事件の真相をおう。しかし、その途中で疑念を抱き、予想外の結末を迎えることになるのだ。

共犯者

新聞社を定年退職した男性が主人公である。ある日、電話がかかってきて、以前の同僚が自殺したことを告げられる。その真相を調べるという内容である。

ゼロの影

主人公の女性は社内結婚ののち、新聞社を退職する。そのあとは、大学時代に一年間の交換留学でソウルの大学に通っていたことをいかし、日本人に韓国語を教える語学学校に勤務している。

その語学学校の女性トイレにカメラを隠していた男が現行犯逮捕された。だが数日後、娘を保育園に迎えにいくと、盗撮犯の男が保育園にあらわれたのである。新聞を読んでみても盗撮事件のことは書かれていないし、新聞社に勤める夫に調べてもらっても盗撮事件の真相はわからないのだ。

そのため、女性主人公は真相をさぐりはじめるのである。

Dの微笑

人気俳優のセクハラの話。「#MeToo」のことを取りあげている。

歪んだ波紋

短編になっていて、この章は総括のような感じになっている。ネタバレになってしまうので、詳しいことを書けないのが残念である。

さいごに

なにかが起こらないと仕事にならないという職種はあまたある。たとえば、病気と医者、事件と警察、検察、裁判官、弁護士など、火事と消防士。

そして、新聞記者もネタがないと仕事にならない。わたしたちが知っている真実は、歪められた情報なのかもしれない。そのようなことを教えてくれる作品である。

「誤報」にまつわる5つの物語。新聞、テレビ、週刊誌、ネットメディア―昭和が終わり、平成も終わる。気づけば私たちは、リアルもフェイクも混じった膨大な情報に囲まれていた。その混沌につけ込み、真実を歪ませて「革命」を企む“わるいやつら”が、この国で蠢いている。松本清張は「戦争」を背負って昭和を描いた。塩田武士は「情報」を背負い、平成と未来を描く。全日本人必読。背筋も凍る世界が見えてくる。

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