映画化された(2018年11月2日公開)『スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)』の第二弾、『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)』が出版されたので紹介する。
神奈川県警生活安全課サイバー犯罪対策課の桐野(きりの)は、児童ポルノ愛好者である重要参考人を追いつめるために、パソコンのハードディスクを調べていた。
その仕事のあと、彼女と会う約束があった。だが、約束の時間までに仕事は終わるのか……。
そう危惧していたが、無事に終えることができた。しかし、それとほぼ同時に内線電話が鳴り、警務部長に呼びだされるのだった。そして、このように言われるのである。
「浦野善治(うらの よしはる)。……もっともこの名前は本人が騙っている偽名にすぎない。本名は浦井光治(うらい みつはる)。このハードディスクが入っていたパソコンは、丹沢(たんざわ)山中に六人の女性を葬ったあの稀代のシリアルキラー、連続殺人鬼の持ち者だ」
P19
五人を殺害して山中に遺棄したことは認めているが、残りのひとりのことについては黙秘している。そのためパソコンのハードディスクを調べ、この男が最後のひとりにも関与していた痕跡を見つけてほしいという。それから物語は下記の3人の視点で進んでいく。
- 桐野
- 桐野の彼女
- 男
コーヒーチェーン店のWi-Fiサービスに似せて作ったダミーのWi-Fiを使い、男はターゲットの女性を罠に陥れる。だが、ある事件の救世主があらわれたことを知り、そちらの話が展開していく。
『JK16を名乗るハッカーが、流出仮想通貨をマーキング』
驚いたのは、この仮想通貨流出事件で謎の正義の味方が出現したことだった。
JK16というハンドルネームのホワイトハッカーが、流出した五百〇億円の仮想通貨に目印を付けてしまった。これで、仮想通貨を分散して何回取引を繰り返しても、その出元が秘匿できないようになってしまった。
【中略】
一方でJK16の正体も謎に包まれていて、そのハンドルネームから色々な憶測を呼んでいた。
『天才美少女ハッカーらしい』
『それはないでしょう。これほどの技術の持ち主が16歳のはずがない。被害にあった仮想通貨の財団の関係者っていう話だよ』
『自宅警備員16年っていう意味で、ただのおっさんらしいよ』
ネット上ではJK16の正体探しも盛り上がっていた。
P40〜41
内容の説明はこれくらいにしておく。あまり内容を知らないほうが楽しめる作品だと思うからである。『スマホを落としただけなのに』の映画が公開されたこの時期に2作目を出版するとは……狡猾なのか……。
狡猾だと言い方が悪いか……。まあ、商売がうまいのである。文庫として出版されたところもいい。それに、おもしろい作品なので売れるだろう。


2019年8月現在の最新刊である「オレオレの巣窟」がかなりおすすめ!

ついでに下記の3つの記事を見ていだければ幸いである。きっと読みたくなるミステリー小説を見つけることができるだろう。



神奈川県警生活安全サイバー犯罪対策課の桐野良一はあるPCから、死体で見つかった女の情報を探っていた。そのPCは、「丹沢山中連続殺人事件」の犯人のものだった。秘密を探るうち、犯人は桐野にある取引を持ちかけ―。その頃、巨額の仮想通貨流出事件が発生。セキュリティ会社で働く美乃里のもとに、ハッカーらしき男からコンタクトがあり…。情報化社会の恐怖を描くサイバー・サスペンス!
麻美の彼氏の富田がタクシーの中でスマホを落としたことが、すべての始まりだった。拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる凶器へと変わっていく。一方、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され…。
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