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【第64回江戸川乱歩賞受賞作】斉藤詠一氏の到達不能極

斉藤詠一氏の到達不能極という本国内ミステリー
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乱歩賞の受賞作をよむことを、わたしは毎年楽しみにしている。

一昨年の受賞作の、佐藤究(さとう きわむ)氏の『QJKJQ (講談社文庫)』が2018年9月14日に文庫化され、2作目の『Ank: a mirroring ape』は、

【国内ミステリー小説】傑作55選
叙述トリック、どんでん返し、二転三転することなどを知っていたとしても、楽しむことができる人はいるだろう。だが、知らないほうが楽しめるのはまちがいないし、知りたくない人は多いはずである。そのため、ここではいっさいネタバレはしていないので、安心して読んでほしいのである。

この記事の「7」に入れたほどの傑作である!期待して待っているのに、つぎの作品がまったく出版されないが……。

そして、昨年は46年ぶりの「受賞作なし」という結果であり、楽しみにしていたことを奪われたのである。

それから1年待ち、待望の2018年度(第64回江戸川乱歩賞)の受賞作『到達不能極』が出版されたので、あらすじと感想を書いていこうと思う。

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2018年と1945年の出来事が並行して進んでいく。

2018年の話は、ツアーコンダクターの主人公を乗せたチャーター機がシステムダウンを起こし、南極へ不時着する。

そして1945年の話の舞台は、ペナン島の日本海軍基地である。そこの訓練生である星野は任務を言い渡され、南極にあるナチス・ドイツの秘密基地に父娘を送り届けることになった。

ミステリー小説として読むと満足できないだろう。魅力的な謎があるわけではなく、パニックになることもなく、主人公がピンチに陥ることもない。冒険+SF+すこしの恋愛という内容である。

小説としては可もなく不可もないといった感じなので、おすすめしたいと思えない作品だろう。

池井戸潤氏、今野敏氏、辻村深月氏、貫井徳郎氏、湊かなえ氏の選評が載せられていて、『到達不能極』の構成力と文章力のことは褒められているが、内容のことを称賛した言葉がほとんどないのである。

さいごに

貫井氏の選評の一部を抜粋する。

ただ、これほどまで調べて書ける人が、なぜこんな子供騙しのアイディアを中心に据えたのか不思議でした。今のSFは本当に進化しているので、これでは通用しないでしょう。

【中略】

中核のアイディアを補強するという前提つきで、他の選考委員は『到達不能極』を推しました。他の選考委員の選球眼を信じ、最終的にはぼくも受賞に同意しました。

貫井氏が推した作品を読みたかったと思ってしまう。だが、構成力と文章力が巧みだということは、わたしも感じたことである。そのため次回作に期待したいと思っている。

衝撃の受賞作なしから1年――。
こんな熱量を、興奮を待っていた!
賞始まって以来、最大スケールの冒険ロマン、ここに爆誕!!
第64回江戸川乱歩賞受賞作

2018年、遊覧飛行中のチャーター機が突如システムダウンを起こし、南極へ不時着してしまう。ツアーコンダクターの望月拓海と乗客のランディ・ベイカーは物資を求め、今は使用されていない「到達不能極」基地を目指す。
1945年、ペナン島の日本海軍基地。訓練生の星野信之は、ドイツから来た博士とその娘・ロッテを、南極にあるナチスの秘密基地へと送り届ける任務を言い渡される。

現在と過去、二つの物語が交錯するとき、
極寒の地に隠された“災厄”と“秘密”が目を覚ます!

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