今回紹介する『わが母なるロージー』は、「カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ」のカミーユ警部が登場する、200ページほどの中編小説である。
ちなみに「カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ」の作品と順番は以下のとおり。
本書の『わが母なるロージー』を含め、なおかつそれぞれの物語を時系列順にすると、
つまり『2』と『3』のあいだに、本書が入るということである。
ということで、『わが母なるロージー』のあらすじと感想を書いていく。
パリで爆発事件が発生するのだ。
爆発はそこから五十メートルほどのところで起こった。彼はそれを待っていたし、うまくいくように期待してさえいたが、実際に起こってみたらあまりの迫力に驚いてしまった。思わず口が開き、感嘆と動転が混じったような表情になった。
衝撃波がカフェの客たちの顔を打つと同時に、床がぐらりと動き、地下のメトロの線路にいきなりTGVが入ってきたかと思うほど激しく振動した。どのテーブルも痙攣し、グラスがぶつかり合って倒れ、あっけにとられた客たちの視線が正しいほうを向くまでにさらに数秒かかった。そしてちょうどそのタイミングであの巨大な足場が動きだし、轟音とともに崩壊した。P25
ある男がカフェのテラス席に座り、仕掛けた爆弾が爆発するのかを見守っていたのである。
難を逃れた人々はすでに倒れた人々の救助に当たっている。だがジャンはメトロにもぐる。
ジャンは誰も助けにいかない。この爆弾の仕掛け人なのだから。P26
爆弾魔VS警察という話なのかと思いきや、爆弾を仕掛けた青年が警察に出頭してくるのである。そして、
「男が来ているんです」とルイが本題に入る。「あなたと話したいと言って」
「そんなことでかけてきたのか?そっちで対応しろ!」
「あなたとしか話さないと言っています。爆弾は自分が仕掛けたとも」
カミーユは急ブレーキを踏み、うしろの車がバッシングする。P51
カミーユは指名されたため、爆弾を仕掛けた男に対峙することにしたのだ。すると、爆弾を6つ仕掛け、毎日ひとつずつ爆発するようにしてあるのだと告げられる。
こちらの要求をのまなければ、どこに仕掛けて何時に爆発するのか、という情報は教えない……そう言われるのだった。
爆弾を仕掛けた男の要求は……その要求はほんとうの目的なのか……という物語なのである。
とくにおもしろいわけでなく、つまらないわけでもなく、ふつうである。そのため書くことがなくて困ってしまう。
ふたたびカミーユ警部が登場する作品を読むことができたので、『
』を足し、おすすめ度は『 』といったところだろう。
上の写真は、『わが母なるロージー』の初版限定付録である。著者のピエール・ルメートル氏の「カミーユ警部、復活の記」、カミーユ・シリーズの人物紹介、シリーズ4作品のそれぞれのポイントを紹介(ネタバレなし)が書いてある。
シリーズすべてが未読という人は、まずこの付録を読んでみるのもいいのかもしれない。
『1』→『2』→『3』→『4』という順番か、もしくは『1』→『2』→『4』→『3』という順番……すべてが未読という人は、この2択のどちらかを選ぶことを強くおすすめする。
パリで爆破事件が発生した。直後、警察に出頭した青年は、爆弾はあと6つ仕掛けられていると告げ、金を要求する。カミーユ・ヴェルーヴェン警部は、青年の真の狙いは他にあるとにらむが…。『その女アレックス』のカミーユ警部が一度だけの帰還を果たす。残酷にして意外、壮絶にして美しき終幕まで一気読み必至。
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