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【葉村晶シリーズ】錆びた滑車までの順番とあらすじ

若竹七海氏の錆びた滑車という文庫本おすすめ作品
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若竹七海氏の『葉村晶シリーズ』は、年末のミステリーランキングの上位を総なめにした。2018年の今年も『錆びた滑車』が出版され、まちがいなくランキングの上位を獲得するだろう。

『錆びた滑車』から読んだとしても、楽しむことはできる。しかし、おもしろさを最大限に引きだすために、順番どおりに読むことを強くおすすめする。

それに、順番どおりに読むと……準レギュラーの人物や新登場の人物が多いシリーズなので、登場人物を把握することができるだろう。

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1.プレゼント

短編集

この作品での葉村晶は、ダブル主人公のうちのひとりである。この作品だけ版元がちがうという理由から、【葉村晶シリーズ】は『依頼人は死んだ』以降という見方もあるようだ。

だが、『依頼人は死んだ』には『プレゼント』のネタバレがあるため、こちらをさきに読むことをおすすめする。

ルーム・クリーナー、電話相談、興信所。トラブルメイカーのフリーター・葉村晶と娘に借りたピンクの子供用自転車で現場に駆けつける小林警部補。二人が巻き込まれたハードボイルドで悲しい八つの事件とは。間抜けだが悪気のない隣人たちがひき起こす騒動はいつも危険すぎる。

2.依頼人は死んだ

短編集

「プレゼント」のネタバレがあるため、「プレゼント」のあとに読むことをおすすめする。

「濃紺の悪魔」「詩人の死」「たぶん、暑かったから」「鉄格子の女」「アヴェ・マリア」「依頼人は死んだ」「女探偵の夏休み」「わたしの調査に手加減はない」「都合のいい地獄」の9編である。

事件や騒動が季節ごとに起き、春→夏→秋→冬 と時系列順に並び、1話目(春)から季節が2順する。2年後の春でエンディングを迎えるのだ。そのような構成である。

念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。

3.悪いうさぎ

家出中の女子高生を連れもどす依頼をうける。そのことをきっかけに失踪事件の謎に迫っていく。

前作までと比べて事件の規模は大きくなり、癖の強い登場人物たちも多くなっている。葉村の不運さがパワーアップしているため、サスペンス的な展開を楽しませてくれる作品である。

少女たちはどこに消えたのか?
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ、待望の長篇!
女探偵・葉村晶は、家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事で怪我を負う。一か月後、行方不明のミチルの友人・美和探しを依頼される。調査を進めると、ほかにも姿を消した少女がいた。彼女たちはどこに消えたのか? 真相を追う晶は、何者かに監禁される。飢餓と暗闇が晶を追い詰める……。
『依頼人は死んだ』『さよならの手口』『静かな炎天』と連なる好評シリーズ。

4.暗い越流

短編集

「蠅男」「暗い越流」「幸せの家」「狂酔」「道楽者の金庫」の5編と「あとがき」という内容である。ノンシリーズの短編集だが、葉村晶シリーズが2編あるので、この作品も読むことをおすすめする。

凶悪な死刑囚に届いたファンレター。差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、その女性は五年前に失踪していた!(表題作)女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。悪い予感は当たり…。(「蝿男」)先の読めない展開と思いがけない結末―短編ミステリの精華を味わえる全五編を収録。表題作で第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞。

5.さようならの手口

元女優の芦原吹雪から、20年前に失踪した娘の捜索を依頼される。失踪事件の裏でうごめくいくつもの謎に挑むという話である。

2014年の末に発売された本作は、13年ぶりとなるシリーズ復活作だ。「このミス」→4位、「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」→10位にランクインしたのである。

仕事はできるが運の悪い女探偵・葉村晶が帰ってきた!

探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優に二十年前に家出した娘探しを依頼される。当時娘を調査した探偵は失踪していた――。

探偵を休業し、ミステリ専門店〈MURDER BEAR BOOKSHOP〉でバイト中の葉村晶は、ある家からの古本引き取りを頼まれる。ほとんどあばらやのようなその家で、大量の本と格闘したが床が抜けてしまい、床下に落ちた葉村は怪我を負うと同時に、白骨死体を見つけてしまう。入院先で刑事に事情を聞かれた葉村は、ある事実を指摘。それが骨の身元判明につながり、事件は解決したのだが、話を聞いていた同室の入院患者で元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を頼まれ、引き受ける。
一方、やめるつもりだったミステリ書店のバイトも続けるはめになったのだが、そこで女性客の倉嶋舞美と親しくなる。しかし、彼女は警察の監視下にあり、葉村は担当の警察官・当麻から舞美に対するスパイの役割をしろと強要されるのだった……。

6.静かな炎天

短編集

「このミス」(2017年版)→2位「bookaholic認定国内ミステリーベスト10」→3位「ミステリが読みたい!」→5位「週刊文春ミステリーベスト10」→11位という各ランキングの上位を獲得した『静かな炎天』は、「青い影」「静かな炎天」「熱海ブライトン・ロック」「副島さんは言っている」「血の凶作」「聖夜プラス1」の6編である。2014年7月から12月のあいだに、月に一度のペースで事件や騒動が起きる。

・バスとダンプカーの衝突事故を目撃した晶は、事故で死んだ女性の母から娘のバッグがなくなっているという相談を受ける。晶は現場から立ち去った女の存在を思い出す…「青い影〜7月〜」
・かつて息子をひき逃げで重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。晶に持ち込まれる依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く…「静かな炎天〜8月〜」
・35年前、熱海で行方不明になった作家・設楽創。その失踪の謎を特集したいという編集者から依頼を受けた晶は失踪直前の日記に頻繁に登場する5人の名前を渡される。…「熱海ブライトン・ロック〜9月〜」
・元同僚の村木から突然電話がかかってきた。星野という女性について調べろという。星野は殺されており、容疑者と目される男が村木の入院する病院にたてこもっていた。…「副島さんは言っている〜10月〜」
・ハードボイルド作家・角田港大の戸籍抄本を使っていた男がアパートの火事で死んだ。いったいこの男は何者なのか?…「血の凶作〜11月〜」
・クリスマスイブのオークション・イベントの目玉になる『深夜プラス1』初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日を描く「聖夜プラス1〜12月〜」。

有能だが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ第4弾。苦境にあっても決してへこたれず、ユーモアを忘れない、史上最もタフな探偵の最新作。〈甘いミステリ・フェア〉〈サマーホリデー・ミステリ・フェア〉〈風邪ミステリ・フェア〉〈学者ミステリ・フェア〉〈クリスマス・ミッドナイトパーティー〉など、各回を彩るユニークなミステリの薀蓄も楽しめます。好評の「富山店長のミステリ紹介ふたたび」も収録。

7.錆びた滑車

行動確認をするという依頼をうけ、葉村は高齢女性を尾行していた。そのとき、尾行対象者によるけんかに巻きこまれて大けがをする。そのことが縁となり、事件や騒動に巻きこまれたり自ら首をつっこんだりしていく。

シリアスな展開のなかにコミカルな演出が入り混じる。そして、ミステリー小説としてもしっかりしているので、おすすめしたい作品である。

女探偵・葉村晶は尾行していた老女・石和梅子と青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれる。ミツエの持つ古い木造アパートに移り住むことになった晶に、交通事故で重傷を負い、記憶を失ったミツエの孫ヒロトは、なぜ自分がその場所にいたのか調べてほしいと依頼する―。大人気、タフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。

真面目、仕事熱心、調査には一切手を抜かない。そして頑固で有能である。だが、なぜか不幸と不運を吸い寄せてしまう。そのため、酷い目に合ってばかりいる。

そんな探偵・葉村晶を主人公に据えたシリーズを楽しんでほしいと思う。

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